バイタルチェックに“歩み寄る”ロボット
情報工学部情報工学科の佐竹研究室では、独居高齢者や介護施設の入居者の見守りに役立つ、人の呼吸推定を行って体の異常を検知するロボットの開発を行っています。高齢者の「孤立死」は増加の一途をたどっており、ことし6月に閣議決定された令和元年版の高齢社会白書では、全国の60歳以上の人のうち3人に1人が「孤立死」を身近に感じていて、自らも孤立死に陥る可能性があると考えていることが分かっています。また、介護分野での人手不足は今後ますます進み、各地の介護施設でも入所している高齢者の見守り態勢を維持できるのかという課題が発生しています。佐竹研究室が開発している見守りロボットは部屋の中で過ごしている人の異常を自動で検知し、バイタルの詳しい状況を確認して命を守るための通報などを行うことを目指しています。これまでの研究では、倒れた人の呼吸をロボットがカメラだけで自動的に測定するシステムの制作に成功しました。孤立死や介護の人手不足を解消する可能性もある研究は国からも認められ、文科省の科学研究費助成事業(※)にも採用されています。現在はMicrosoft社製のカメラ、Kinect(TM)を用いて部屋の中で倒れた人に近寄り、胸の動きから呼吸状態を推定できるシステムを完成させています。今後、意識の有無や他の生体情報なども計測できるようシステムを改良していきます。
さらに研究室では現在、部屋の天井に設置したカメラを用いて部屋の中で過ごす人の転倒などの異常を検知し、待機しているロボットがその場所に自動的に駆け寄るシステムも構築中です。部屋の中で過ごす人は通常、機器を身に着けることがないので、いつ発生するか分からない体の異常を漏れなく感知できる可能性があります。
佐竹純二(さたけ・じゅんじ)准教授
- 情報工学部 情報工学科
- 工学研究科 修士課程 情報工学専攻
研究分野:
・知覚情報処理・知能ロボティクス
科研費(科学研究助成事業)
研究課題名:環境センサと移動ロボットを連携させた見守りシステムの開発補助事業期間:2017年度~2019年度
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