2008年度に締結した大学院修士課程ダブルディグリープログラムに続き、大学院博士後期課程においてもダブルディグリープログラムを締結するため、7月10日(火)から12日(木)の3日間、下村学長、大山工学研究科長、盧工学部教授、北原大学院事務長の4名が南京理工大学を訪問しました。
調印式の前に、陳銭副学長、左超教授の案内により「画像と知能センシングー重点実験室」を見学しました。当実験室は電子と光学工学院の研究室をベースに2011年9月設立した江蘇省重点実験室であり、画像計測や知能センシングーを中心に研究を行っています。まず中国科学技術部の国家国際科学技術合作基地である「中日連携画像計測技術研究基地」が紹介されました。当国際共同研究基地は2017年度に中国科学技術部が全国の名門大学や国立研究所に設立した32の国家レベルの国際共同研究推進基地の一つであり、本学の盧教授と先方の陳銭教授との三次元画像計測の共同研究に基づき申請したものです。現在高速高精度の三次元画像計測を中心に研究を進めています。続いて、独自のパターン光投影と画像解析技術に基づく高速三次元画像計測システムを見学しました。当システムは高速カメラ、高速投光器及び独自の画像撮影と画像処理技術により構成し、4000枚/秒の高速撮影により、動物体の三次元画像計測を実現します。その後、顕微鏡三次元計測システムが紹介されました。焦点距離が調節できるレンズアレイの使用により、微小物体の高精度の三次元画像計測を実現します。最後に、低い倍率レンズによる高解像度顕微鏡撮影システムが紹介されました。この手法は従来のステージによるサンプル走査方法に代わり、独自のLED照明走査追跡撮影手法を提案しました。これにより、機械的な操作を必要とせず、100倍のレンズで広範囲の写真撮影を行い、各局所領域では500倍のレンズに相当する繊細な画像が得られます。
続いて、徐建成教授、巨里鍇副研究員の案内により、全学共同実験施設の「工学訓練センター」を見学しました。工学訓練センターは従来の実験実習工場を改組し、2007年に設立した全学共通実験実習施設であり、学生のエンジニアデザイン、工学モノづくり、工学マネジメント等の教育を実施する教学施設です。工学基礎類、工学総合類、学際イノベーション類、開放型類などの種類の実験・実習科目を設けてあり、学科により必修もしくは選択科目に設定し、単位数は1単位から4単位までの複数種類があります。今回私達は重点的に「VRと機械安全実習」システムを見学しました。このシステムではVR及び実物実験システムにより、機械システムの安全性の重要性と構築方法に関する教育を行います。学生は自ら安全システムを設計、実装、プログラミング、調節し完成させます。本実習の所要時間は8時間です。
見学後、会議室に移動し本題である大学院博士後期課程ダブルディグリープログラムの調印式が行われました。先方からは、尹群書記(校務委員会委員長)、陳銭副学長、劉中国際交流処長、薄煜明大学院常務副院長(院長は副学長兼任)、章定国大学院副院長が参加されました。当初は付夢印学長が参加される予定でしたが、都合により欠席となり、急遽、尹群書記(校務委員会委員長)が出席され、下村学長と共に大学院博士後期課程ダブルディグリープログラム覚書に調印しました。
その後は、これからの連携に関する意見交換が行われ、両大学から活発な意見が出されました。(両大学からの主な意見は以下のとおりです。)
- 両大学は25年間の姉妹大学の歴史を持ち、特に修士課程ダブルディグリープログラム(DDP)の実施を通じて、連携と信頼関係を深めました。
- 修士課程のDDPは効果が大きいですが、在学期間が二年間で短く、もっと深い研究を実施するのは困難です。今回の博士課程のDDPをきっかけに、両大学間の連携を一般の学生教育から教員間の共同研究に基づく高水準の研究型グローバル人材育成に発展させることを目指します。
- 「中日連携画像計測技術研究基地」は両大学の教員間の共同研究の成功例であり、これからは多くの教員に推進したいと考えます。
- 大山先生の電気自動車などの研究テーマは中国でも重視されており、南京理工大学自動学院の教員との共同研究や博士DDPによる研究者育成が期待されています。
- 両国の国体が異なりますが、人類の福祉、幸福、平和のための共同的な研究テーマが多く、両大学の連携により、学術を推進していくことが期待されています。
- 博士DDP修了生の就職に関する質問があり、南京理工大学の博士課程の学生は企業からの需要が高く、就職には全く問題がないとのことでした。殆どは大学や国立研究所、大企業の研究所に就職するそうです。